京都創作研究所

マンガやアニメなどの感想を中心に、情報発信していきます 2014年11月30日終了予定

かぐや姫の物語のすすめ 2 高畑監督とジブリ

現在公開されている「かぐや姫の物語」の動員数がおもわしくなく、かつ周りの人から聞く評価も悪いように思います。せっかく、千円以上のお金を払って見るのに、「まあまあ、おもしろかった(月並)」では勿体ないと思います。

なので、見に行ったけど、いまいちよくわからなった人や見ようかどうか迷っている人に対して、「どうやって見るか」という視点で少し語ってみます。

下段に行くほどネタばれが増えていきますので注意してください。ただ、この作品の場合はネタばれしても十分楽しめると思います。

映画館に行こうか迷っている人はこのブログを見て「見たくなった」or「DVDレンタルで十分」と思った瞬間にページを閉じてもらって結構です。前者は早めに映画館に行ってもらいたいですし、後者は「かぐや姫の物語」のことを忘れて、来年の夏あたりにレンタルしてください。

 

これ以降感想に入ります(ネタばれ注意)

 

 

 

 

 

 

 

前回は映像表現についての話をしました。今回はメタ的考察を行い、「どうやってかぐや姫の物語を見るか」考えようと思います。

 

方針

以上の視点から見ていきます。下に行くほど映画を見ないと知りえない情報(ネタばれ)が増えていきますが、別に大丈夫だと思います。

 

メタ的考察(高畑勲ジブリについて) 

高畑監督はジブリにおいて、「火垂るの墓」や「平成狸合戦ぽんぽこ」などのアニメをを監督している。他にも監督、プロデューサーとして多くのジブリ作品に携わっている。詳しい内容が知りたいときは高畑勲 - Wikipedia や、かぐや姫の物語 公式サイトとか、高畑勲展 | 映画「かぐや姫の物語」キャンペーンサイト| au loves ジブリ とかを見ているとおもしろいかもしれない。

 

重要なことは、宮崎駿の師匠であり、二人で共にアニメ作品(時々実写も)を作っている。特に今回は「アルプスの少女ハイジ」の演出を行っていることも頭に入れて映画を見ると楽しめる。

 

一つの疑問点として、「なぜ、かぐや姫の物語(竹取物語)をアニメ化するのか?」考える人も多いと思う。この点に関して、本作のプロデューサーの西村氏も高畑監督に質問した。

スタジオジブリ高畑勲監督の映画『かぐや姫の物語』の原作を見て武者震い! - YouTube

上の動画で西村プロデューサーが「かぐや姫の物語」について語っているが、

要約すると「本作は50年前からの構想」「高畑監督はかぐや姫について日本人は知らないし、物語の疑問を解決するために作品を作らなくてはならない。」

 

そのかぐや姫の物語の疑問とは、

「かぐや姫は数ある星の中からなぜ地球を選び、去らなくてはならなかったのか?」

「3年半も地球にいるが、かぐや姫は何を考えていたのか?」

「原作で語られる、月の地で犯した罪と罰とは?」

 

本作ではこの疑問を解決するように作られ、西村プロデューサーは「本作ではすべての疑問が解決する」と語っている。確かに、これらの疑問に対する一定の回答は見つけることができる。

多分、「上記の3つの疑問の答えを探しながら見る」のが教科書通りの正しい見かたのように思う。しかし、より楽しむために視聴者一人ひとりがかぐや姫を中心とした全てののキャラクターの感情を推測しながら見てほしい。そのうえで、作中で語られる答えとは別の「それぞれの視聴者の答え」を導き出しても面白いと思う。

この答えを見つけた時、かぐや姫の世界と私たちの世界が一つにつながる。竹取物語は 平安時代のおとぎ話に違いないが、その根底にあるのは現代社会と通じる「何か」が存在する。高畑監督はこの日本最古の物語の中に現代人へのメッセージをのせている。